昼間の信号機

パパ活で貯金を作っている、メンヘラ社会不適合者の女です。主にパパ活での出来事などを書いています。

人間嫌いのパパ活日記㉒-性を売ることは半年ほどやめるのだ

タイトル通りなのだが、半年ほど女性性で金を稼ぐことを休もうと思う。

 


単純に不調なこと、相場の崩壊、暑い(※)のですぐ化粧が崩れて顔面の誤魔化しがあまり効かないこと……などなど、理由を挙げればキリがない。(※ブログを書き溜めするタチなので、この記事を書いた時点では8月でした)

が、大きめの理由を挙げるとすれば飽きてきたこと、暑くて外に出たくないこと、そして好きな服装と髪色にしたかったことである。髪は既にショートウルフにカットしてきた。


半年というか、弊学の冬休みが始まるまでの休止期間だ。先日ツイッターで、顔合わせのお手当を取らないpjというのを目撃し、これはいよいよ本格的に価格崩壊か……と思われたため、冬休みが始まってもP活に戻るかは不明である。大人しくどこかの在籍にでも収まるか検討中だ。ちなみにいま気になってるのはイメクラ。女性黒服もいいな。

 

P活の相場崩壊を知ったのはP活を始めた後だったわけだが、援交にしてもP活にしてもかなり稼ぎづらくなったと古参pj(P活女子)がツイートしているのをよく見かける。何かの業界なら相場を保つ配慮が行われるのが常識だが、P活は完全に個人でやっていることだから相場なんて知ったことではない。私のようなぬくぬく実家暮らしが貯金のためにやっているなんてことは稀で、大多数のpjはもっと切実にお金を欲してやっているわけなので、安い額を示して回転率を上げていった方が稼げるなら躊躇いなくそうするだろう。聞いた話だが、大阪人は何でも値切りたがる傾向にあるため、大阪のpjは他地域より回転率で稼ごうとするpjが多いとか何とか。真偽は知らんけど。


ツイッターやインスタでP活が身近になったことから、そもそもpj自体の人口が増えたらしい。コロナによる不景気で相場が下がっていると言う人もいるが、相場が元に戻ることはないと言う人もいる。私にはどっちなのかは分からないが、風俗業界も稼ぎづらくなっていると聞くし、不況なんだなぁということは何となく分かる。もっとも、美人、長い付き合いの定期がいるpj、話術に長けたpjは変わらず稼げているようである。

 

とはいえ一度若さを売ってしまった身としては、18という年齢がいかに価値のあるものかを知ってしまっている。こうしてブログの文章をポチポチと打ち込んでいる間にも、高卒したての18歳というブランドは刻一刻と失われていっているのだ。勿体ねぇ!!!

加えて塩顔の私は良く言えば清楚系・坂道系、悪く言えば垢抜けない芋ブス、要するに素人っぽさを売りにしてP活をしていた。この売り方には期限があるし、顔の系統的に売り方を変えるのはそこそこ難しい。通用しなくなったら目頭切開と二重埋没くらいはする覚悟である。


そういうわけなので、半年もの間女性性を売らずに過ごすなんていうのは大損なのである。半年の間に19になってしまうのも損ポイントだ。しかし既に男ウケしない髪色・髪型にしてしまったし、ガッツリお金に換えるのは難しい。


そこで考えているのはメルレ・チャトレ・夢売りあたりである。メルレ・チャトレとはメールレディ・チャットレディの略で、昔で言うテレクラみたいなものである。男性とエッチなメールを交わしお給金をもらうが、一通あたりの単価は低く、顧客(?)を獲得するには自分からアタックメールを送るなどの営業努力が必要らしい。マメな性格でないと続かない副業といったかんじだ。友人からのLINE1本返し渋るような昼間の信号機には到底務まらない気がする。


夢売りは別名🍞売りとも言い、早い話がこれはブルセラのことである。使用済みパンツが夢だと……? 汚ぇ夢だな!!

専門のサイトが幾つか存在しており、そこに使用済みの下着を出品できる。こちらもブログを更新したりオプションをつけたり何なり、多少の営業努力が必要である。ブログは恐らく写メ日記みたいなイメージだ。オプションは着用日数の追加だったり、下の毛を同封するとかだったり、他にもっと過激なオプションをつけている人もいる。

こちらはメルレ・チャトレとはまた違ったマメさが必要で、出品用の下着を仕入れる初期費用、梱包や発送の手間などなど面倒なことばかりである。メルカリとかが続けられる人には苦ではないかもしれはい。

 

いずれも副業という扱いを受けているし、メルレやチャトレ、夢売りで満足いく稼ぎを得られるとは思っていない。例によって好奇心で首を突っ込んでいるだけである。

昼間の信号機は一昔前のもの、例えば回転ベッドのある鏡張りの部屋のラブホ、例えば番台のある銭湯、そういったものが大好きだ。であるからしブルセラという今日日流行らない単語はなかなか魅力的であった。テレクラもどきであるメルレ・チャトレも魅力的だが、ブルセラの方が単語の響きに夢がある。(何を言ってるんだ?)


そういうわけで、ひとまずは夢売りでもしてみようかと思っている。P活や体験入店に比べるとどうしても刺激と稼ぎは減るが、休憩期間ということで好奇心くんには勘弁してほしいものだ。


当ブログ「人間嫌いのパパ活日記」はこの記事と、1、2回の番外編を投稿して休載期間に入るが、ブルセラなどで何か面白いことがあったら突発的に投稿しようかな、という考えである。パパ活じゃないのにパパ活日記に投稿するのも変な話だろうか。タイトル変えた方がいいかな。

 

 

そういうわけで、計22回にわたりお付き合い頂き、ありがとうございました。コメントをくださった方なんかもいてとっても嬉しかったです。本当に、身に余る幸せです。再開した時もまた読んで頂けたら嬉しいです(強欲)

 

 

ちなみに鏡張りの部屋と回転ベッドのあるラブホテルは、1984年に風営法が改定されたのを機に廃れたらしい。四角くなったベッドを見て唖然とするジョージ・オーウェルを想像して覚えよう。勉強になったね!

人間嫌いのパパ活日記㉑-初体験を好きな人にあげれば偉いのかよ

風俗で童貞を捨てるのが卒業ではなく中退なら、処女をお金で売って捨てるのはさしずめ喪失ではなく紛失といったところだろうか。

 

私は処女を金で売った。相手は元定期のパパだ。行為前に札束を受け取ったこと、潔癖気味の元定期が衛生を気にしてビジネスホテルで事に及んだことを除いては、特筆すべきこともない至って普通の初体験だった。

 


諭吉──もうすぐ栄一になるが、あれは5人くらいまでならテンションが上がるが、25人もまとめて受け取ると「さ、札束……」という気持ちになる。札束を手にした時の感情を知れたのはなかなか良い人生経験だったのではないだろうか。

パパがホテルにチェックインの手続きをし、今まで行った場所やこれから行きたい場所の話なんかをしながら部屋に入った。ホテルに置いてあった水を飲んで「緊張する?」みたいな型通りの雑談をしたあと、「先に渡しておくね、確認のために数えて」とパパに札束をいただいた。確かにそこには25人の諭吉がいた。

 


服を脱ぎ、シャワーを浴びる。ホテルでシャワーを浴びるとき髪を濡らさない、というのを知ったのは、ほんの少し前のことだった。濡れた髪を乱して行為に及んだら破滅的で良いだろうな、と思っていただけに、少し残念だった。アメニティが充実しているのはビジネスホテルだからなのか、ラブホにもこういうものはあるのか、ラブホに入ったことのない私には分からなかった。備え付けのガウンを着て風呂を出た。

 


パパがシャワーを浴びるのを待っている間は、軽く化粧を直したり、水を飲んだりしていた。電気や空調を調節しておきましょう、とインターネットに書いてあったが、やり方がよく分からず諦めた。

 

 

 

パパがシャワーから出てきた。同じガウンを着ていた。

「緊張してる?」

「少しだけ……」

そんなやり取りをする。

「座って」

とパパが言い、ガウンを捲った。

「おっぱい大きいね。Eカップくらい?」

「すごい……よく分かりますね。ちょうどEカップです」

「やっぱり。いつからこんなにおっぱい大きいの?」

「中学生くらいから……」

ちゃんとしたAVって見たことがないのだが、AVの導入ってこんなかんじなんじゃないだろうか。もしかしてAVの性知識しかない人類か?と訝しんだが、私のカップ数を当てているあたりそういうわけでもなさそうだ。

「これ持ってきたんだ」

そう言って、パパが鞄から透明なボトルを取り出した。プッシュ式の頭がついている。

「ローション。始めてって言ってたし、あった方が痛くないかなと思って」

「ありがとうございます。……なんか、このご時世だとアルコール消毒液に見えますね」

「確かに……」

色気のないコロナジョークを言う私。妙に納得してボトルを見つめるパパ。……ごめんって。

 

 

 

──と、これ以上仔細に事を記しても官能小説になるだけなので、ここから先のことを書くのはよそう。というか書いているこっちが恥ずかしい。このままセックスの描写に入ると思った? 残念!

一つ言うとすれば、やっぱり本番よりもフェラよりもキスが気持ち悪いな、ということだろうか。ピンサロに体入した時も思ったことだが……。好きな人とすれば何か違うものなのだろうか?


処女を失ったら世界が変わると思っていた。とりわけ私は金で売ったのだから、良くも悪くも大きな変化があるだろうと、今までとは全く違った世界の見え方をするだろうと、そう思っていた。

しかし、事が済んだあとの世界はあまりにも今までと地続きだった。少しくらい後悔とか罪悪感とか、「穢れてしまった」みたいな感覚があるものだと思っていたが、全くと言っていいほど皆無。いつも通り「今日はありがとうございました!」みたいなメッセージを送って、鞄に入った大金の心配をしながら帰路に着くだけ。

「初めてドカタ(パパ活用語でパパとセックスすること)した時は吐いたなぁ、今は全然平気だけど」みたいなツイートをよく見る。吐き気すらしなかった私は、どうしたら良いのだろうか。切迫した事情もないのに性を売って金を稼いだこと、お互い納得した正当な取引だから罪とまでは言わないが、多少の罰があるものだと思っていたのに。──これでは、まるで釣り合いが取れない。


このまま風呂屋に沈んでもいいかもな、などと、そんなことを考える私であった。

人間嫌いのパパ活日記⑱-今度こそガルバ体験入店に行ってきた③

少しの休憩後、「あそこのお客さんについて」と指示されたのは騒がしい5人組のお客さんの卓だった。私がついた時点でかなり出来上がっており、相当に騒がしい卓だ。一対一の落ち着いた接客はパパ活で慣れているのもありそんなに苦手ではないが、そもそもがコミュ障陰キャであるためこういう騒がしい飲み会ノリの集団接客は苦手な部類だった。そもそも飲み会への参加経験があまりにも少ない。

 


1人のお客さんに1人の女の子がつくシステムであるため、私の他にも4人の女の子が既に卓についていた。その中には一緒にキャッチをやっていたド陽キャのSちゃんも含まれており、上手いこと場を盛り上げている。ドリンクを頂いて乾杯をしたは良いものの、実質Sちゃんがずっと1人で卓を切り盛りしていたようなものだった。

 


どうやらこの5人組のお客さんはどこかの会社の偉い人たちであるらしい。見たところ全員が20代後半から30代といったところで、その日のお会計を持つらしい、髭面で人相の悪い人物が皆から「社長」と呼ばれていた。

5人組ではあるのだが、何となく3:2の構図が生まれており、「社長」含む上司組3人と、比較的若い部下の2人で場が分かれているようだ。Sちゃんは「社長」に取り入って、実際気に入ってもらえたらしく、イッキをしまくってドリンクバックをガンガン稼いでいた。それに便乗するように、もう2人の女の子もイッキをしまくっている。

 


私はもう1人の女の子と一緒に、部下2人組の接客をする形となった。私と同じく騒がしい卓が苦手らしい彼女が、「この卓マジで最悪……早く離れたいですね」と耳打ちしてきた。

 

 

 

上司組3人がかなり昭和臭い男ノリで飲んでいるのに対し、部下2人からは最近の若者という印象を受けた。聞いても大丈夫ですか?と断りを入れて「社長」たち3人との関係を聞いたら、「社長」はやはり社長なのだと言う。2人は「社長」の部下で、1人は「社長」に心酔しているようだったが、もう1人は曖昧な微笑みを浮かべていた。まぁそういうことなのだろう。


曖昧な微笑みを浮かべていた方のお客さんのことは強く印象に残っていて、今でもよく覚えている。彼のことを仮にIさんとしよう。


Iさんに初々しいね、新人?と聞かれたので体験入店ですと白状したところ、それは大変だねと言ってくれた。

「俺の元カノがねぇ、ガールズバーで働いてたから色々と詳しいよ」

「そうなんですか?」

「そうそう。お酒の代わりに水入れたりするとかね」

「え! 本当に詳しいんですね」

すると一緒に接客していたキャストさんが、横から「でも私とこの子が今飲んでるやつは本当にお酒入ってますよ!」と抗議の声を上げる。

「本当に〜?」

「本当ですって! まぁお酒に見えるお水のボトルが置いてあるのも本当ですけど……」

 


そんなことを話していたら、「社長」たち3人組から「お前これ歌える〜?」とマイクが回ってきた。どうやら「社長」たちがノリでカラオケを入れたが、1番のサビから先を歌える人がいなかったらしい。

驚いたことにIさんは、つい数瞬前まで私たちと落ち着いて話をしていたのがまったく嘘のように、「社長」たち3人のノリにぴったり嵌る調子で、バックナンバーの何とやらを熱唱し始めたのだ。「社長」たちは満足だったようで、「お前歌上手いな〜!」と盛り上がる。

しかし途中から飽きてしまったのか、「社長」たちはカラオケをIさんに丸投げしてSちゃんとのお喋りに戻ってしまった。Iさんは誰も聞いていないカラオケを1人で歌い切り、「マイクどうすればいい?」と聞いてきた。マイクは結局再び「社長」たちの手に渡った。

 


その後も基本的には3人と2人に分かれて飲みつつも、定期的に「社長」たちから絡まれ、そのたびにIさんは器用に男臭い昭和ノリをこなした。反面私たちと話している時は、穏やかな物腰で余裕のある平成ボーイといったかんじだ。整った顔立ちをしていたことや、元カノがガルバで働いていたという話も相俟って、遊び慣れしておりスマートに遊んで綺麗に帰るタイプの人、という印象を受ける。でもそれは、ガールズバーのキャストからしたらそういうお客さんが1番助かるからそういうふうに振舞っているだけなのではないか、という気もする。実際私たちキャスト陣にかなり気を遣ってくれていて、体入の私に色々と声をかけてくれたり、ドリンク大丈夫?と聞いてくれたりした。

 


昭和ノリをしている時と私たちキャストと話している時、どちらの方が素に近いのかは分からなかった。ただ、色んな方向に器用に気を遣って話すIさんの姿を見ていたら、何となく友人のことを思い出した。Iさんと友人は結構似ているように思えた。

 

 

 

そろそろお会計という段になった時、「社長」が席を立ち、「ちょっとお前こっち来い」と店の奥にIさんを手招きした。「社長」とIさんはしばらく戻って来なかった。流石に不穏なものを感じて、私ともう1人のキャストは「なんか怒られてません?」「お会計のことですかね」「あっ、私たちに勝手に1杯ドリンク入れたから……?」などとヒソヒソ話し合う。「社長」に心酔している方の部下が「社長は優しいから大丈夫だよ」と言うが、そんな分厚い色眼鏡込みの発言ではあまり信頼できない。体感5分ほど経ってやっと戻ってきたIさんに「大丈夫でしたか……?」とこっそり聞くと、「大丈夫大丈夫!」と返ってきたが、「社長」の顔つきを見る限りそんなに大丈夫ではなかった可能性が高そうだ。

 


このお店はお客さんとの連絡先交換が必須ではない。が、やる気のあるキャストは自ら連絡先を交換して、営業をかけても良いらしい。「社長」に気に入られることに成功したSちゃんは、「LINE交換しようよ!」とスマホを取り出し、順番に交換し始めた。本当にやる気のあるキャスト以外は連絡先交換をしていないらしく、Sちゃん以外がスマホを取り出す様子はない。「社長」たち3人とLINEを交換し終え、Iさんに「お兄さんたちもLINE交換しよ!」とSちゃんがスマホを差し出すと、「俺はいいかな」とIさんは断った。そして、「どっちかというと俺はこの子とLINE交換したい」と私を指差したのである。

「わ、私ですか?」

「うん。……ダメ? あっもしかしてお店のルールがあったり……」

ここに入店するかも分からないし、入店しなければ二度と会うこともないだろう。しかしこのしんどい卓で随分良くしていただいたし、友人と重ねて見ていたこともあり、私はLINEの交換を了承した。

この時LINEのホーム画を市ヶ谷駅の前にある有名な釣り堀(様々な漫画やアニメにたびたび登場する)の写真にしていたのだが、LINEを交換したIさんの第一声が「あっ、有名な釣り堀だ!」だったのでIさんはオタク趣味のある人だったことが判明した。せっかく趣味が一致しそうだったのに接客中にその話題まで至れなかったのは、ひとえに私の話術の不足である。無念。

 

 

 

5人のお客さんを見送り、カウンター内の片付けを手伝っていると、内勤さんが「(源氏名)ちゃん、上がっていいよ」と言った。トイレで貸し衣装から着替え、衣装を返しにお店の奥にある事務所スペースに行くと、内勤さんが何やら書類を書いている後ろでSちゃんが煙草をふかしていた。

「あぁ(源氏名)ちゃん、お疲れ。これ、今日体入してもらった分のお給金ね」

そう言って内勤さんは私に4000円を手渡した。時給にドリンクバックも合わせて絶対に4000円以上分働いていると思うのだが、どうやら日払いの限度額が4000円らしく、入店しなければそれ以上の分はタダ働きとなるらしい。

「今日どうだった? 入店できそう?」

「うーん、初めてなのでできれば他のお店も見てみたくて……2週間くらい待っていただくことってできますか?」

「いいよ。色々見て決めなね」

内勤さんとそんな会話をしていると、Sちゃんが煙草を吸いながら、

「え、ガルバだったらウチ紹介しようか?」

と声をかけてきた。齢18にして紹介できるガルバを持つSちゃん、何者なんだ……。

「ほんと? いやでも紹介してもらってもし入店しなかったら色々と不都合なこととか起きない?」

「あ〜、それは確かに」

Sちゃんはあっさり引いて、また煙草を吸った。……あれ?

「ていうかSちゃん、煙草……同い年だよね?」

私が恐る恐るそう聞くと、Sちゃんはニッコリ笑って

「ウチ、年確されたことない」

と言った。圧倒的強者感。

 

 

 

 


そんなこんなで私は内勤さんとSちゃんにお礼を言い、店を後にした。雨上がりの7月の夜は蒸し暑く、酔いが回り始めていたこともあり、私は現実感がないまま、ふわふわとした心地で駅まで歩いた。

酒を飲んだのは初めてではないが、酔うほど飲んだのは初めてだった。はじめて酔っ払いになった私は、まぁ言うても大して酔ってねぇなと思いながら家とは逆向きの電車に乗り、慌てて正しい向きの電車に乗って乗り過ごし、引き返したらまた乗り過ごし、乗り換えで電車を間違え……と、電車関連で起こりうる間違いのパターンをほぼ全てやり尽くした。どうやら結構酔っていたらしい。

 


理性というか、物事を考える力、判断力みたいなものが著しく低下していた。全てが何となくふわっとしたかんじになり、世のメンヘラが決まってストゼロ缶を持つのも分かる気がした。自分は35までには自殺したい、とずっと言っているものの、何だかんだ怖くて死ねないまま年老いていくのだと思っていた。だが、酒がこんなにも思考力を奪ってくれるなら話は別だ。この状態ならきっと死ねる。死ぬ時は酒を飲もうと、私はこの日の帰り道でそう決めた。

 


この状態で家に帰って親に色々バレたらヤバいな、と頭では分かっていたが、どこかで酔いを覚ましてから帰るという考えには至らず、ひたすらお茶を飲む以外の対策は特にしなかった。が、幸い家に着く頃にはすっかりシラフに戻っていた。

 

鞄を開けると、内勤さんにもらったもみじ饅頭が出てきた。キャストの1人からのお土産だと言う。「それどうしたの?」と母に尋ねられたので、「今日遊んだ子にもらった。実家から送られてきたんだって」と適当なことを言った。母は「ふうん」と気のない返事をして、それ以上追求してこなかった。

 

 

 

【おわり】

人間嫌いのパパ活日記⑰-今度こそガルバ体験入店に行ってきた(2)

雨足は強まるばかりだが、結局店内には入れてもらえず、私たちは路上キャッチを続けることとなった。


路上キャッチは思った以上に楽しかった。男は値踏みの目を、女は好奇と軽蔑の目を向けてくるのが手に取るように分かるのである。彼女連れの男性はつとめてこちらを見ないようにしてくるのが伝わってくるし、忙しそうな人はこちらに興味すら示さない。発声のタイミングを考えるため通行人のことは割とじっくり見るが、路上キャッチに対する反応の差は見ていてなかなか面白かった。

 


程なくして内勤さんから電話がかかってきて、私は休憩のため店内に入った。この時間はまだ暇だったため、内勤さんとお喋りをして過ごした。

 


どうして体入しようと思ったの?などといった当たり障りのない内容から始まり、趣味の話などになり、どういう経緯だったか忘れたがなぜかメイド喫茶の話になった。最近よくメイド喫茶に行きます、ということを話したら内勤さんがかつてメイド喫茶のTO(トップオタク)だったことが判明し、内勤さんがかつて推しのメイドさんに贈ったフラスタやプレゼントの画像を見せてもらった。「俺女の子が喜ぶプレゼント見つけるの得意なんだよね〜」と言いながら見せてもらったプレゼントのセンスは正直微妙だった。

 

 


休憩明け、キャッチに立つ場所が変わってペアのキャストの子も変わった。先程の子と同じで21歳らしく、今は何されてるんですか?と聞いたらまたしても「ニートだよ」と返ってきた。ここには社不しかいないのかもしれない。まぁガルバって夜職だしな。


趣味の話をしていたらなんと同じアーティストが好きなことが判明して大盛り上がりし、ずっとその話ばかりしていた。どの時期の曲が好きですか?てか昨日の生放送見ました?最近キャラ変えようとしてますよね〜結婚したいとか言ってたし。まぁ昔に比べてだいぶ民度落ち着きましたけど、民度低かった時代が長すぎて未だに好きって公言できなくないですか?わかる〜!といった具合に。結局この時は一言も客引きの言葉を発さなかった。めちゃめちゃ楽しかった。


それから、好きなメイド喫茶の面接をそのキャストの子が受けようとしていたことが判明して大変驚いた。めちゃめちゃ好きな外見だったし話も合ったので、今頃メイド喫茶でその子に貢ぎまくっていたという未来もあったのかもしれない。

 

 


その後またキャッチの立ち位置が変わり、イケイケ陽キャみたいなかんじのキャストの子とペアになった。彼女をSちゃんとする。Sちゃんは専門学生らしく、私と同い年で、社不というかんじはせず話を聞くにかなり遊んでいそうだった。


その頃にはゴールデンタイムに突入していたというのもあるが、Sちゃんはは他のキャストと違ってとても客引きに熱心だったし、上手かった。引けなさそうなお客さんにも話しかけて世間話なんかをする(彼女曰く印象に残ることが大事で、今日引けなくても後日に繋がるかもしれないらしい)し、元気系で強引で、「え〜お兄さんにお店来て欲しいな〜」と言われたら「まったく仕方ねぇな〜」とついて行きたくなる雰囲気がある。最初の十数分はSちゃんに客引きのコツなどを教わっていたが、あっという間に彼女はお客さんを引いて店に連れ帰ってしまった。


1人で路上に取り残されてしまった私は、仕方がないので客引きに本腰を入れる。こういう場面で恥じらいを捨てるのは得意なので、普段は天地がひっくり返ってもできないような「お兄さんたちカッコいいからお店来てくれたら嬉しいんですけど……」みたいなことも平気で言える。少しすると2人組のお客さんを捕まえることに成功し、私はお客さん2人を連れてお店に戻った。

 

道すがら「今日はお仕事帰りですか?」「こういうお店はよく行かれるんですか?」といった定番の会話をし、料金システムの説明なんかをする。料金システムの説明が曖昧だったからなのか、「お姉さんもしかして新人?」と看破されてしまったので「実は体験入店で……」と白状した。

 

 

お店に到着すると既に店内はほぼ満席で、内勤さんに相談したところ普段は女の子の休憩スペースになっている席に案内することになった。休憩スペースとは言ってもちゃんとカウンター席になっているし、お酒も置いてある。ただカウンターの後ろにロッカーや貸しシューズが置いて会ったりはした。

騒がしい店内の奥の席でやっと一息つく。


「(源氏名)です、お兄さんたち来てくれてありがとう!よろしくね」


と挨拶をし、注文を取った。緑茶ハイを、と言われたが、ろくにお酒の作り方を教わっていないので「たぶん酒だろう」というボトルから無色透明の液体を指2本分入れ、その上から2Lペットボトルに入った緑茶をドバドバ注ぐ。

ガルバでは女の子もワンドリンクを飲むシステムなので、2番目に大きなグラスを入れてもらい、同じく緑茶ハイらしきものを飲んだ。このお店では、お客さんには20歳だということにすれば未成年でも飲んでいいらしい。お客さんに入れてもらうグラスは3種類のサイズがあり、大きさによってキャストに入るバックが違うそうだ。

 


お客さん2人はこちらに質問をしたりして話題を振ってくれたが、ADHD特有の喧騒の中で聞き取りができないというアレを遺憾無く発揮し、最終的に「チェンジで」と言われた。そりゃそうである。

 

 

私は卓を離れ、少しの休憩をもらった。

 

 

 

【続く】

人間嫌いのパパ活日記⑯-今度こそガルバ体験入店に行ってきた(1)

今度はちゃんとしたガルバだった。

 

 

昼間の信号機は以前、ガルバの体入で失敗している。具体的にはピンサロに連れて行かれている(人間嫌いのパパ活日記⑧〜⑩参照)。

懲りないのでもう一度ガルバの体入を取り付けたところ、今度こそちゃんとしたガルバに連れて行ってもらえたのでレポとして書き残そうと思う。

 

 

 

 

都内某駅を出て大通りから路地に折れた先に、そのガールズバーはあった。

カウンター席が幾つかと、奥に女の子の待機スペース兼混雑時の客席があるだけの、細長くて小さな店だ。更に奥に一応、人1人座るのがやっとの事務所がある。恐る恐るドアを開けると、内勤さんが1番奥から手招きしていた。私は昼間から飲んでいるお客さんの背後を突っ切って、奥の待機スペースに向かった。

 

ピンク色の内装の可愛らしいお店だ。棚には内装に似合わぬゴツい酒が置いてあって、夜の店というかんじがした。あっ!アルマンドがある!キャッキャッ!(小学生)

 


「こういうお店は初めて?」

陰気な内勤さんに渡された履歴書を埋めながら、そんな会話をする。説明が面倒臭いのでピンサロの話は伏せて、初めてですと言った。ましてやパパ活の話などできるはずもないので、もっと伏せた。


「育ち良さそうだよね」

「どうしてこういうお店で働こうと思ったの?こういうとこ来るタイプに見えないからさ」


この時内勤さんに聞かれたことだが、この体験入店で同じことをあと3回くらい聞かれることになる。実際私は良くも悪くも育ちが良いし、育ちが良さそうに見える振る舞いをしていると思う。それ以外に振る舞い方を知らないといえばまぁそうなのだが。ピンサロの時にも思ったことだが、私みたいなタイプはこういうお店にはなかなかいないし、他の女の子から好奇の目で見られている気がするし、実際浮いている気がする。でも今のところ、ピンサロの女の子もガルバの女の子も異文化育ちの人間に親切であった。

 

実家暮らしなので22時くらいには上がりたいと言ったら、それでも雇ってくれると言う。ただ履歴書を書いた時点で20時頃だったので、体入は別の日にしようと言われた。

別日の15時に店に来る約束をして、その日は帰った。

 


 

 

そして体験入店当日。


その日は履歴書を書いたのとは別の、ぽっちゃりで愛想のいい内勤さんがいた。


「3時からの(源氏名)ちゃんだね」


今まで話してきたボーイさんや内勤さん……といっても3人ほどだが、その人たちはにこやかに話していてもどこか女の子を商品としか思ってなさそうな冷たさを持ち合わせていた。が、この日の内勤さんは良くも悪くも人間と会話をしているという感があった。


まずは、店のシステムと接客方法をざっくり教えてもらう。お客さんは1時間ン千円のチャージ料金に、ワンドリンクを注文する。女の子の時給は1300円スタートでドリンクバックが何円、ボトルバックが何パーセント、など。コンカフェみたいだな、と思った。コンカフェと違うのは、チャージ料金が高いこと、ワンドリンクを飲むのがお客さんではなくキャストであることだろうか。


一通りのことを教わると、貸し衣装に着替える。パンツがギリギリ見えるか見えないかの短い丈のワンピースで、丈の話だけするならピンサロといい勝負だ。くすみピンクの生地に黒レース、早い話が地雷系の衣装だった。

やったー!!!!!これで私も地雷女だ!!!!!!!!!!!!!!!!!!(バカ高テンション)(クソデカボイス)


ツイッターで500年前から「地雷女になりたい……」とぼやいていた昼間の信号機は大喜びであった。貸し衣装なので多少レースがほつれていたがまぁその辺はご愛嬌である。トイレで着替えをしたので自撮りをしてから出るか迷ったが、着替え待ちのキャストがいたので思いとどまった。

 

 

「お客さんについてない時は外でキャッチをしてもらうから」

そう言って看板を持たされ、キャストの子と一緒に外に出た。キャッチの立ち位置は3パターンほどで決まっており、私たちは肉屋前と呼ばれているポジションに向かった。厚底の貸しシューズが非常に歩きづらかった。


この日は天気が悪く、私たちは傘を持ってキャッチをすることになった。このとき時間は3時半頃。天気が悪い上に、こんなに日のあるうちから女の子のいる店で飲もうなんて輩はなかなかいない。というかいない。


「っていうかね、キャッチしようとしまいと来る客は来るし来ない客は来ないから」


というのがペアになったキャストの言い分だった。私たちは看板を持ったまま、雑談に花を咲かせることとなった。スマホを触っているのが内勤さんに見つかると罰金があるので、喋ることくらいでしか暇を潰せないのだ。


「今おいくつですか?」

「21だよ」

「そうなんですね!私18です。今は何されてるんですか?」

ニートだよ!」


あまりにも元気に答えられたので、赤いパーカーを着たCV櫻井孝宏の幻覚が見えた。


「昼職見つかるまでの繋ぎで働いてるんだよね。大学は中退したんだ〜私には向いてなかった」


あっけらかんと言う彼女。酔っていると言っていたので、それもあるのかもしれない。

それから彼女と趣味の話なんかをして、たまに思い出したように「こんにちは〜ガールズバーいかがですか〜」の気のない声を出した。こんなんで時給1300円出るんだからたまらねぇな。


最初はそんなかんじでお気楽に時給1300円を享受していたものの、小降りだった雨がだんだん強まり、強風に雷まで鳴り出して、衣装は濡れるしそもそも脚出してるしで様々なものがヤバくなり始めた。具体的には体温、傘、強風で見えそうになるパンツなどだ。


「あの」

「何?」

「これって何時になったら店内に入れるとかないんですか?」

「ないよ!客引くか退店時間になるかするまで一生このまま!!」

「嘘じゃん……」


こうして一気に労働環境が過酷になり、私たちは店内に入る努力をした。

「こんにちは〜ガールズバーいかがですか〜!(3オクターブ上)」

「雨宿りしていきませんか〜! 1時間飲み放題n千円で〜す!!(5オクターブ上)」

しかし、こんな悪天候の中わざわざガルバで雨宿りする人間などなかなかいない。というかいない。当たり前である。


我々の努力も虚しく、雨風はどんどん強くなっていく。そして──


バキッ!


という音と共に、傘は傘だったものになり、ついでにスカートがめくられて、我々はちょっとえっちな濡れ鼠になった。

 


ペアの彼女が内勤さんに電話をして、傘を持ってきてもらった。店に入りたいですと彼女が言うと、内勤さんは上に掛け合ってみるよと答える。キャッチの1人や2人引っ込めるのにも上の許可が要るなんて、大変な世界だなぁ……と思った。


【続く】

人間嫌いのパパ活日記⑮-P活女、昼のバイトをするの巻(2)

◎ア〇ゾンの倉庫整理バイト

 

倉庫整理というかピッキングのバイトだった。ピッキングとは、渡されたリストにある商品を倉庫から見つけて取ってくる作業のことである。

ピッキングのバイトはマジであらゆる面でADHDにおすすめできる。


マルチタスクなし、シングルタスクの連続

・覚えることもほぼない

・倉庫の場所、商品名、品番のセルフ三重チェックができるので不注意によるミスが起こらない

・黙々と1人で作業できる

・割とチンタラやってても何も言われない(棚の背が高く社員さんからこちらの様子が見えないため)

・(商品が色々あるため)情報がいっぱいで楽しい


あらゆる面で最高のバイトだったが、倉庫内に時計が1つもなかったのはとても困った。スマホも持ち込めなかったし、何時間経過したのか分からず終わりが見えない作業はそこそこ地獄だ。社員さんに言いつけられた用事のついでに時計を見ることに成功し、他のバイトの方たちに時間を伝えたら英雄みたいな扱いをされた。草。

 

 


◎アニメのイベントスタッフ


パパ活なんかやっている女がスタッフをした、なんてジャンルに対して悪影響かもしれないので作品名は伏せるが、少しでもヲタクカルチャーに触れたことがある人なら知らない人はいないであろう、長寿で大手の女性向けジャンルのイベントスタッフをやった。


アニメイベントの裏側が見られるなんて面白そうだな、と思って応募したが、大規模イベントのため大量に人を雇っており、人手が余っていてマジでやることがなかった。流石大手古参ジャンルというだけあり、ありとあらゆる年齢層と種類の女オタクを見ることができて、さながら女オタク博覧会である。推しの概念を着てるんだろうな……という人やロリータやギャル、クソダサヨレヨレ服の人など多種多様だが普通の女はほぼいなかった。ヘルプマークをつけた人がそこそこいたのがヲタクの“真実”を語っていて辛い。キャリーバッグを持った人が結構いたが、ヲタクはコミケ以外でもキャリーバッグを後ろ手で引かないことが分かり、その辺のマナーはは流石だなと思った。(コミケ会場では安全のためにキャリーバッグを後ろ手で引くのは禁止)


現場で仲良くなった中国人の女性がファッション好きで、中国にはワイドパンツがないと教えてくれた。へぇ〜。


高校の同級生がイベントに来ていて死ぬほど気まずかった。

 


聖火リレーの式典スタッフ


コロナの影響で聖火リレーができないので、トーチキス(シガーキスのバケツリレーみたいなかんじで火を移していく)で聖火台に火を灯す式典が行われて、その式典のスタッフをやった。

守秘義務があるので怒られたら消す。

世はオリンピック反対の向きなのにオリンピックに加担するのが、なんだか反社っぽくて面白かった。オリンピックに加担した金でメイド喫茶に行ってすまんな。

式典のチケットは抽選だったらしいが、スタッフをしたお陰でタダで式典を拝むことができた。前座として地元の部活強豪校がお呼ばれしており、元吹奏楽部の私は大喜びであった。

客席にお客さんを案内するポジションだったが、式典が始まってしまうと本当にやることがなく、社員さんに座ってていいよと言われたので座って式典を見ることができた。チケット料金を払わないどころか時給が発生するオリンピック式典観覧……。

他のポジションも似たり寄ったりでやることがなかったらしい。明らかに人が余っていたし、まぁオリンピックともなればそれなりに人やお金を動かさないと色んなところに色んなものが立たないんだろうな……と思うなどした。

 

 

◎コンビニスイーツの製造


コンビニスイーツの製造工場のバイト。ホイップクリームを乗せたり、重さを計ったり、商品名シールを貼ったりする。私はシール貼りの工程が担当だった。

単発バイトとは思えないほど念入りな身体検査と消毒が行われ、「まぁバレへんやろ」とピアスをしたまま就業しようとしたらめちゃくちゃ怒られた。ファーストピアスなんですと言っても勘弁してもらえず、泣く泣く外した。

 

食品工場でよく見る顔しか出ていない白ドラえもんみたいな服に着替え、マスクをし、長靴を履き、目以外の箇所が外気に触れない状態にされ、工場に入る前に入念にコロコロをかける。2種類のハンドソープで手洗いをさせられたので「ピンサロみてぇだな……」と思った(ピンサロは接客前に2種類のうがい薬でうがいをする)。謎の消毒液に手を浸し、手に傷がないかのチェックをする。ピンサロもお客さんのちんちんをアルコールで拭いて性病検査するし、これは実質ピンサロと言っても過言。

壁からめっちゃ風出てくるやつ(伝われ)で作業着の汚れを飛ばし、あれだけ入念に手洗いをしたのに結局手袋をする。しかもビニール手袋の上からゴム手袋をし、更にゴム手袋も消毒液に浸したのちアルコール消毒するという徹底ぶり。


工場にはフィリピン系の外国人女性が異様に多く、なかなかまっすぐシールが貼れない私は「ナンデマッスグハレナイ……マッスグ!マッスグハルダケ!」とめちゃめちゃ怒られた。途中から上手く貼れるようになったら「オネーサン、ジョウズナッタネ」と褒めてくれたのでいい人なんだと思う。

工場の社員さんは他の現場に比べてかなり怖かったのだが、たぶん外国の方が多い職場なので物事をはっきり言う方が都合がいいんだろうなと思った。


この時大学の期末レポートに追われており、サルトル実存主義についてレポートを書いていたのだが、ひたすらシールを貼っていた私はたぶんシールを貼るために生まれてきた人間と化しており、本質が実存に先立っているので今の私は人間じゃないな……などと考えていた(「人間は実存が本質に先立つ」)。が、これは対偶サルトルなので真ではなかったかもしれない。という小粋な哲学科ジョークを後日友達に言ったが、誰にも分かってもらえなかった。ぴえん。

人間嫌いのパパ活日記⑭-経済格差とパパ活市場

こんな話がある。


以前、ツイッターパパ活界隈には有名なキラキラパパ活女子アカウントがあった。ツイッターパパ活界隈なんてのは夜職の子のツイッターと同じで、大抵はパパへの愚痴だとか、今月稼げてなくてヤバいとか、そういう内容ばかりだ。しかしその有名なアカウントは大変儲かっていたようで、よくパパに買ってもらったブランド物や高いご飯の写真を上げて注目の的になっていた。ここではそのアカウントを仮にSちゃんとする。


ところで、以前少しツイッターで話題になった、A山学院大学のパパ活サークルの話をご存知だろうか。A山学院大学といえばそこそこの高学歴かつ遊び人の美男美女が集まる、という印象だが、かの大学で詐欺紛いのパパ活を行うサークルがある、と問題になったのだ。

詐欺とは言ってもそれはいわゆる茶飯女(パパ活において性行為なしでパパからお金を得ること。本来パパ活は食事のみで行われるとされているが、多くの男性が性行為を望むこと、また応じる女の子も多いことから茶飯女と呼ばれて区別される。パパ側からは嫌われ、茶飯乞食と呼ばれることもある。女の子側には茶飯だけの定期パパがいるとすごい、という風潮がある)の常套手段で、セックスできる可能性をチラつかせて何度か食事のみでパパからお手当てをもらい、一定の回数会ったら音信不通になって逃走する、というものだ。太宰みてぇな括弧の長さになっちまったな。


恐らくその詐欺紛いの行為というよりは、それを大学内で組織的に行ったことが問題となったのだろう。今そのサークルがどうなったのかは知らないが、界隈ではそこそこ派手に炎上していた気がする。


そしてちょうどA山学院大学のサークルが問題になった時期に、一言の挨拶もなく突然Sちゃんのアカウントは消滅した。


Sちゃんと仲の良かった子がツイートしていた話によれば、SちゃんはA山学院大学生だったとか、何とか……。

 

 

 


要は「A山学院大学のパパ活サークルを主導していたのが恐らくSちゃんで、そのサークルが炎上したので垢消しして逃亡した」というのがこの話のオチであるが、何とも恐ろしい話である。何が恐ろしいって、A山学院大学というそこそこに頭の良い大学の生徒が徒党を組んで事に及んでいたことだ。3人寄れば文殊の知恵、と昔から言う。頭と育ちと顔の良い人間が組織的にやったら、茶飯パパ活市場はいとも簡単に彼女らに独占されてしまうと思う。彼女らが唯一愚かであった点は、学内のサークルとしてそれを行ったことだ。

 

 


身体を売ることは誰にでもできるが、茶飯だけでパパからお金を引き出し続けるにはそこそこの頭の良さが要る。


まずある程度の情報収集能力と頭の良さがあれば、見えている地雷は回避できる。見えている地雷というのは、こちらに不利益や危害を及ぼす可能性が高いおじさんのことだ。見えていない地雷はもちろん回避できないが、そういう「一見大丈夫そうだけど実はヤバい人」はたとえ店を通していたとしても回避が難しいので、性を売るなら仕方のないリスクだと飲み込むしかない。


話だけで相手を満足させる会話術も必要だ。正確には、パパ活おじさんは全員女とセックスをしたいと思っているので「本当はこの子とセックスもしたいけど、セックスを求めたら二度と会えなくなってしまう。会えなくなるくらいならセックスしない方がマシ」と思わせることである。ちなみに私にはできないので、定期のパパとはセックスしたしそれ以外のパパは一定期間が経つと関係が切れている。


件のサークルは、茶飯だけでお金を引く方法をある程度誰でもできるように体系化し、行っていた。最終的には音信不通になるという強引な切り方であったとはいえ、これは割とすごいことだと思う。

 

 

さて、家庭の経済力の子の学力は比例するというのが通説である。そして頭の良い女は金が稼げる。A学のサークルが炎上したのは、彼女らがそこそこ稼げていたからだろうし。

しかしお金をより必要としているのは、奨学金やら何やらで、家庭に経済力のない子の方だろう。

学力と頭の良さがイコールではないし、P活は頭の良さ以外にも必要なものが色々あるので、必ずしも家に金のある女の方が稼げるとは限らないのが救いだが、それにしても「金はあるところに集まる」の構図を感じずにはいられない。資本主義の限界というかんじがする。知らんけど。

 

 

Sちゃんが今どうしているのかは分からないが、ただでさえ楽にお金を稼げるパパ活を更に体系化して楽に稼ごうとしていた彼女が、今更昼のバイトだけで満足するとは思えない。

きっと今もどこかで大金を稼いでいるのだろう。